nandoblogのブログ

30代後半、機械系エンジニア、2児の父のブログです。

【仕事の話】第36回 安全について

こんにちは。ナンドーです。

このブログでは、自分の実体験をもとに色々役に立つ情報や雑記を記載していきます。

本日のテーマは「安全について」です。

 

自分の会社は巨大な重量物を扱っています。

工場の中では、天井クレーンで何十トンもの重量物があちこちに行きかっています。

 

そのような一歩間違えれば命にかかわるような重大災害が起こりかねないような現場ですので、「安全」というものにはかなり敏感です。

 

本日は仕事における「安全」についてちょっと書いてみたいと思います。

 

1.【始めに】「安全第一」という言葉の由来

 

 広辞苑で調べると「安全」はこのように書かれています。

 

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安全(あんぜん)

①安らかで危険のないこと。平穏無事。
 平家物語7「かの夭逆にをかされて、四海鎮とこしなえにその―をえず」。
 「家内―」「旅の―を祈る」
②物事が損傷したり、危害を受けたりするおそれのないこと。
 「―な場所に隠す」

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つまり「安全な現場」とは「危険を排除した現場」ということになります。

 

ここで、皆さん、「安全第一」という言葉の由来ってご存じでしょうか?

工業や建築の現場では、この「安全第一」という言葉がよく使われます。

 

しかし、1900年代初頭、世界有数の規模を誇っていた製鉄会社USスチール

スローガンは生産第一、品質第二、安全第三」だったそうです。

 

しかし、劣悪な環境で働く労働者に心を痛めた社長が方針を転換し

安全第一、品質第二、生産第三としたのだそうです。

 

「安全第一」というのは経営者が労働者を守るために生み出した言葉です。

よって、「安全な職場環境」というのは経営者によって労働者に提供される義務があります。

しかし、その職場環境を維持していくのは労働者側の責任です。

この相互関係によって、安全な職場は構築される、ということですね。

この関係が成り立っていない職場は「危険」です。

ご自身の環境はどうなっているか、見直してみてください。

 

何だかためになる小話みたいになってしまった^^;

 

2.【結論】「気を付ける」は一番最後

 

安全第一の概念がわかったところで、次に安全な環境をどう作るのか

ということを考えてみます。

 

<事例1>

作業現場に穴が開いていたとします。

何も対策をしなければこのように人が穴に落ちます。

 

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そうならないために、もしあなたがこの現場監督だった場合

作業者にどのような対策をさせるのがいいか、下記の3つから考えてみてください。

 

①穴が開いているので落ちないように気をつけて歩きましょう、という

②穴が開いているので、暫定的に塞いでおくようにいう

③穴が開いている周りを、柵で囲って近づけないようにする

 

この中で、最も適切と考えられる対策は③です。

こんな感じですね。

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くれぐれも②を選ばないようにしてください。

なぜなら、落ちないようにとりあえず塞いでしまったら

そこに穴があるかどうかが分からなくなってしまいます。

ちゃんと対策されていない場所がわからなくなってしまったら

もし、誰かがその上を通った時に穴を塞いでいたものが壊れて

落ちてしまう可能性が高くなります。

まさにこんな感じ。落とし穴です。

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なので、このような場合にはちゃんとしていない対策はせず

本格的な対策ができるまでは、あえて目立つようにしておくことが大切です。

こんな感じですね。

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「気を付ける」というのは非常に大事ですが、これは一番最後の補足です。

安全のためには出来うる限り物理的な対策を講じることが大切です。

 

3.【詳細】安全にも限度がある

 

それでは次の事例です。

 

<事例2>

家の中で小さな子供が勝手にハサミを使おうとしていたとします。

 

親であるあなたは「危ないから気を勝手に使ったらダメ!」と言って

ハサミを取り上げるでしょう。

 

この後あなたはどうしますか?

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①取り上げたハサミをそのまま机の上に置く

②取り上げたハサミを子供の手の届かないところに置く

②取り上げたハサミを捨て、家から危険源を取り除く

 

①は当然ダメです。子供は必ずまたハサミを触ろうとします。

 

②は物理的対策になるので、危険を遠ざけるには有効と考えられます。

 

しかし③はどうでしょう?

 

一番危険源を遠ざけることができているはずなのに、どうもしっくりきません。

 

このケースの場合、家からハサミが無くなってしまうので

物を切ることができなくなってしまいます。

安全にはなりましたが、何もできないのでは困ります。

 

このように過剰な安全対策を取ろうとすると、何もできなくなります。

このために、「ハサミがないから他の道具を使って物を切ろう」と

本来使うべきではない道具を使って非定常作業を行い

逆に失敗して怪我をする、というケースもあります。

 

このように、過剰になりすぎず、取れるリスクの中で

最大限の対策を講じる、ということが大切になります。

 

4.【まとめ】元気に出発して、元気に帰りましょう

 

 本日は安全について書きました。

 

自分の会社では、以前作業員の方が工場内で重量物に接触

命を落としたという事故がありました。

若干20歳の若い方でした。

 

自分自身、その日は工場で働いていました。

実際の現場には居合わせていませんでしたが

工場内にただならぬ雰囲気が漂っていたのを今でも覚えています。

 

8月はその事故があった月です。

毎年、会社全体で黙祷と安全への誓いが行われます。

でも、クレーンは本日も天井を行き来しています。

安全は大切でも、危険を完全に排除することはできません。

 

元気に家を出て、元気に家に帰るというのが当たり前のことでありながら

それができない現実は結構近くにあります。

これは自分が特別な現場で働いているからということではなく

普通に生活している形であっても同じことだと思います。

 

車に乗っていて事故にあったり

電車のホームで足を滑らせてホームに落ちたりなんてことは誰でもありえることです。

 

しかし、最近駅のホームにはホームドアが設置され始めています。

このような対策により、物理的に人が落ちないようになってきました。

それでもホームドアが閉じる瞬間に駆け込んで挟まれれば怪我をします。

やっぱり最後には自分自身で「気を付ける」というところで

自分を守りましょう。

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それでは今日も一日ご安全に!